カレーを食べたら救急車
食中毒?いや、違う
この世には、カレーを食べて、救急車に運ばれる人間がいる。
それが、私だ。
まぁ、食あたりとかそういうものを想像するのが普通だが、
私はただ、当たり前に食べられると思っていたカレーを食べて、運ばれた。
カレーは辛い、ただそれだけ
カレーは何も悪くない。
ただ、思ったよりも、想像以上に辛かっただけ。
そして「あぁ、辛いな……」って思って、そんなに食べられもしなかった。
辛(から)いは痛い、痛いは辛(つら)い
発生した症状はこれだ。
①なんだか、体があたたかい
②なんだが、トイレに行きたくなる。
③体のだるさと吐き気が襲う
→よし、タクシーでさっさと帰ろう!
④刺された!わき腹が絶望的に痛い。
→撫でてみたけど、当然刺されていない。
⑤吐き気が凄い。
→タクシーの人から袋を貰って、とにかくその場で降りる。
⑥痛みと吐き気で動けない
→救急車を呼ぶ。
⑦吐く
もう、死んだかなと思う程絶望的な痛みと吐き気。
というか、とにかく早く気絶したかった。
「カレー辛かったですか!?」
真剣に聞かれて、どうしろと。
辛かったとしか言えないのだが、脱水症状も起こしており体力も失っているので、
答えることがとても難しい。
ゆっくりと、うなずくことしかできない。
救急車の揺れですら本当に痛くて、丸くなろうとすると、体を伸ばせと言われる。
(あなたは、ナイフで体を刺されたとして、真っ直ぐになれるのデスカ……?)
恐ろしい痛みなのだが、理由がカレーという何ともしまらない理由に、
どうしても真面目になりきれない。
とりあえず、食中毒とかそういうものは一切なく、
体が辛さでびっくりしてしまい、蠕動(ぜんどう)運動が恐ろしく活発になったんじゃないかなぁという事だった。
(もはや記憶はあいまいだったので、だいたいそんな感じ)
「カ、カレーでこうなるの!?」という驚きと、
痛すぎて、理由なんてどうでもいいという投げやり感で心が満ち溢れていた。
点滴すごい
金曜日の夜だったからか、近くのベッドには酔って運ばれたような人も多かった。
擦過傷が「さっかしょう」なのか「さっかそう」なのかというお医者さんの雑談を聞きながら、
擦っても結構血が出るもんだなぁと言うどうでもいいことを考えていた。
痛みに耐える為、柵を握りしめながら……
結局、水分補給の2本と痛み止め1本入れてもらったのだが、
点滴の力は非常にすごい。
あそこまで絶望的だった体調が、3本の点滴と2時間程度の仮眠でよく取れたものだ。
痛みが取れてきたら、
何時であろうと、
服が血まみれであろうと(私の話じゃないが)、
保険証をなくそうと(私の話じゃないが)、
病院からは出されるので、立てる状態になってから帰宅。
タクシーで帰って、家に着いたのは深夜三時。
翌日は仕事だったので、そこからさらに眠って、仕事に備えた。
多少わき腹の痛みは残るが、支障がないレベルには回復していた。
点滴、本当にすごい。
カレー怖い
今でこそ、だいぶ克服したが、
カレーを見るだけでわき腹が痛んだり、ハヤシライスでも痛みを思いだしたりと、
トラウマ状態が1年以上続いた。
最後にこれだけは言える。
カレーは悪くない。そして、私も悪くない……はず。